全国の新生児医療の崩壊の阻止を目指した

新生児専門医を目指す小児科医の臨床支援プログラムを実施します〜NICU医療の短期有給研修制度〜

 全国主要新生児施設214施設で構成される「新生児医療連絡会」の調査では全国NICU責任者の76%が病床の増床の必要性を感じている現状です。病床を増やす上での支障となっている理由として「新生児医師の確保」が79%で最多でした。崩壊が危惧される新生児医療の維持には新生児医療専門医師を増やす対策が早急に必要と考えられます。

 神奈川県は神奈川県内・県外を問わず、日本の新生児医療専門医の養成のための短期有給研修医制度を神奈川県立こども医療センター新生児科に増設して、全国の周産期・新生児医療の崩壊を防ぐために教育に力を注ぎたいと考えております。これまでは1年単位で毎年3名の研修医を募集しておりましたが、別枠として長期間の研修が困難な先生方にも3ヶ月単位の柔軟性のある期間での有給研修医を募集させて頂きます。

 神奈川県立こども医療センター新生児科は神奈川県の総合周産期医療施設として3次新生児医療を担い,日本周産期・新生児医学会周産期専門医制度基幹研修施設に指定されています。年間入院数350名程度,うち超低出生体重児は30名弱です。先天異常症例が半数を超え,胎児診断例も100例を越えるため,様々な先天異常症例の診療を担当しています。NICUは15床から21床へ2008年秋に増床予定で,超低出生体重児入院数も増加する見込みです。短期間で多くの診療経験を積めることは確実です。

 6名の常勤スタッフも母乳栄養・胎盤病理・循環器・神経・呼吸・在宅医療など専門領域を持ち,小児病院各診療科とともに胎児・新生児・小児まで幅広い指導が可能です。日本一平均年齢が高い新生児科スタッフではありますが、長年つちかってきた経験・知識・技術を全国の新生児専門医を目指す皆様に伝承させて頂きます。

 全国から新生児専門医を目指す熱意ある方を応募をお待ちしております。

 

1 研修内容(新生児科医短期研修プログラム)

(1)目標

  応募者の小児科診療・新生児科診療のご経験と研修期間に応じて、新生児専門医となるための知識・技術・経験を得る。

(2)研修内容

A)新生児専門医を目指した研修(必修)

(日)極低出生体重児、超低出生体重児の診療

(月)周産期仮死・新生児仮死児の診療

(火)先天性心疾患、先天性外科疾患はじめとした先天疾患の診療

(水)ドクターカーによる新生児搬送診療

B)サブスペシャリティー養成研修(選択)

 母乳栄養、胎盤病理、先天性心疾患の胎児診断、先天性心疾患の初期診断と初期診療、Stress-Velocity関係を含めた早産児の循環管理,動脈管開存症の基礎と臨床, 呼吸機能検査や気道ファイバーなどを用いつつ呼吸管理法、気管切開・在宅酸素療法・在宅人工呼吸管理などの外来診療、脳波・画像評価などを含めて脳神経疾患の医学と医療などのノウハウをお教えすることは可能です。

C)院内カンファランスへの参加

定期的に院内で行われる新生児科医師には参加が義務づけられているカンファランスです。これに参加することで、胎児診断、周産期管理につづく新生児管理の考え方を学べると考えます。

●新生児科回診(月金曜日)毎朝、入院患者全員の診療を全員で話し合います。

●産科・新生児科カンファレンス(月)

参加者:産科医師,新生児科医師,母性内科医師,母性病棟スタッフ,

NICU 看護師,相談室スタッフ(ソーシャルワーカー,保健師等)内容近く分娩になる予定で,NICU への入室が予想される胎児の母体・胎児の状況の連絡

●PNC(Prenatal Conference)・新生児カンファランス(毎週木曜日)

参加者:産科医師,新生児科医師,母性内科医師,遺伝科医師,母性

病棟スタッフ,NICU 医師,NICU看護師、関連科医師

内容胎児異常を指摘されている例に関する診療方針および患者・家族への情報提供の内容に関する検討会。新生児の治療に関わることになる関連科の医師の参加も要請して行っています。先天性疾患の周産期医療・新生児医療の治療戦略を学ぶことが出来ます。

長期入院児や退院後に小児科受診が予想される児について小児科との連携を目的に開催しております。

全NICU退院児の退院後の病状、成長、療育などの状況を新生児科医、看護師、ソーシャルワーカー,保健師、リハビリ科、理学療法士、作業療法士、臨床心理士などで包括的に情報共有と診療方針の話し合いをしています。NICU退院後の外来フォローを学べると考えます。

D)院外カンファランス

●神奈川県新生児連絡会 4回/年

●PWG(Perinatal Working Group)カンファレンス 3 回/年

●成育医療・神奈川周産期合同カンファランス2 回/年

など、研修希望者の経験・期間・ご希望にあわせて、新生児科スタッフが柔軟に研修内容を一緒に設定させて頂きます。

(3)研修内容の評価、調整

新生児科スタッフ等による勤務状況の評価により、研修内容を適宜調整します。

2 募集要件

神奈川県内外を問わず、NICU経験が3ヶ月以上ある小児科医・産科医。

3 募集人数

若干名

4 選考日及び選考方法・応募方法

(1)選考日随時相談の上、選考

(2)選考方法面接

(3)応募方法以下の書類を添え提出

履歴書、卒業証書の写し又は、卒業証明書、医師免許証の写し、健康診断書(ただし胸部レントゲンについて医師所見の記載があるもの)

5 処遇等について

(1)身分:神奈川県非常勤職員、原則週30時間勤務。

(勤務時間についてはご本人の意向を踏まえ柔軟に対応します。)

(2)期間:原則3-6か月。ご本人の意向や知識、技能等に応じて柔軟に対応します。

(3)報酬:????

6 問い合わせ先

こども医療センター新生児科(豊島勝昭)

電話045-711-2351  NQF37179@nifty.com