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県立こども医療センター 新生児専門医研修

「原則半年派遣出しやすい」 センター「医師不足の解消」

新生児の心臓の動きをチェックする豊島医師(左)と研修医の川戸医師(4月27日、県立こども医療センターの新生児集中治療室で)

 県内で唯一の小児専門総合病院「県立こども医療センター」(横浜市南区)で、ほかの病院から新生児医療の専門医を半年以内の短期間、研修生として 受け入れる制度が今年度スタートし、医療関係者の注目を集めている。医師を送り出す病院は研修期間が通常の1年に比べて半分以下と短いため派遣がしやす い。さらに、全国的にも充実した施設を誇る同センターは、重い症状の妊婦や新生児を受け入れており、派遣された医師も貴重な経験を積んでいる。

 新しい制度の名称は「短期有給研修医制度」。研修とはいえ、派遣された医師は同センターの常勤医師と同じように働く。同センターの新生児集中治療 室(NICU)のベッド数は全国でも最大規模の21床。県内だけでなく、首都圏からも重い症状の妊婦や新生児が搬送されるため、派遣された医師が初めて担 当する症例も多い。

 県によると、県外のほかの総合病院にも研修制度はあるが、基本的に1年間の研修期間という。同センターでは原則半年間で、3か月からの研修も受け入れるのが特徴。医師を送り出そうと考えても「自分の病院の診療態勢に影響が出る」と踏み切れない病院もあることに配慮した。

 既に千葉県の病院から1人を受け入れており、7月からは群馬県、10月からは大阪府、東京都、静岡県の病院から各1人が研修に訪れることが決まっている。同センターは2年間で8人程度の受け入れを予定している。

 この制度は、同センターの新生児科医長の豊島勝昭医師(40)が「県職員提案事業制度」を活用し、松沢知事と面談して提案し、実現させた。同セン ターは昨年10月にベッド数が6床増えたが、財政難もあり、現在6人いる常勤医の増員は見込めない。「ベッドが増えた分、医師も増えないと対応しきれな い」と考えた豊島医師が、他病院の専門医を生かすことを思いついた。

 6月末で3か月の研修を終えて千葉県旭市の国保旭中央病院に戻る川戸仁医師(33)は、「重い症状の赤ちゃんはほかの病院に任せていた。ここで初めて扱った症例も多く、経験が積めた。帰ってから役立てたい」と話す。

 豊島医師は「センターの新生児医療の人員を充実させることで、子供の命を後遺症なしに救える可能性が高くなる。地方の新生児科医の技量の底上げも図れるはず」と話している。

2009年6月28日  読売新聞)